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株式会社ショウエイ
(茨城県日立市)

庄司さん株式会社ショウエイは、1975年(昭和50年)創業。大型製缶、機械加工などの精密板金加工を行っている。
社員数は53名(2025年1月現在)。
今回は、取締役総務部長の庄司裕紀恵さんからお話を伺った。
健康診断機関の実施するストレスチェックサービスを活用しており、実施義務のない社員数50人未満となっても継続している。
まず、ストレスチェックの取組みなどについてお話を伺った。
「2005年に現在の場所(日立市)へ工場と本社を移設しました。また、事業の拡大に伴い、採用も拡大したため、社員数が急増しました。産業医の選任義務がある社員数50人以上となることが想定されたため、地元の大企業から転職してきた当時の安全課長による助言を受け、2015年に新たに産業医を選任しました。私の家族が働いていたこともある近所のクリニックの医師にお願いすることができました。」
「ストレスチェックは、50人以上の事業場に義務化されて以降、継続して実施しています。健康診断機関のサービスを利用して、毎年9月頃に紙形式で実施しており、受検率は100%です。当社は、安全課長を中心に積極的に安全教育を実施しており、社員の安全対策に関する意識も高いおかげか、ストレスチェックについても積極的に受検してくれています。心の健康が安全対策にも大きく影響を及ぼすという意識が、社員に浸透していることのあらわれだとも考えています。2015年以降、社員数が50人未満となったこともありましたが、産業医の選任とストレスチェックは継続して実施しています。また、高ストレスと判定された社員の面接指導は産業医が対応しています。」
「外部講師によるメンタルヘルス・ハラスメント対策の研修を実施しており、社員全員が参加しています。社長、役員を含む全員が同じ研修を受け、共通の体験をすることは、職場の人間関係を円滑にし、コミュニケーションの活性化を図るという観点からも有意義だと考えています。」
社員が幸せに働き続けられる方法を常に考え、長時間労働対策や、社員旅行などのコミュニケーションの活性化に力を入れている
次に、長時間労働対策や健康経営の取組みなどについてお話を伺った。
「長時間労働対策としては、まず、2018年頃に残業削減に向けた社長方針を策定しました。そして、各部長が業務の進捗状況を都度把握し、状況を踏まえて業務の再配分をして、業務の偏りを減らせるように取り組んでいます。また、業務効率化の工夫として、以前は、事務所にあるパソコンで図面の確認や印刷をしたり、紙資料を探すためにわざわざ事務所に行かなければなりませんでしたが、現場にタブレット端末を設置したことで、現場で即座に図面の確認や管理ができるようになりました。また、携帯端末で作業の開始や終了を登録することもできるので、業務量や業務時間もデータで管理することができるようになり、把握しやすくなりました。全体の作業工程の進捗管理も効率的に行えるようになりました。このような取組みの結果、直近では、社員全体の平均残業時間を月5.5時間まで削減することができました(2023年3月~2024年1月)。」
「以前は、有給休暇を取得しにくい社内の風土があったように思います。そのため、有給休暇の取得を推進するには、社員自身に有給休暇の残日数を自覚してもらうこと、休みたい時に当たり前に休める風土をつくること、が大事だと考えました。そこで、4年前に、社員一人ずつに “有給休暇カード”を作成し、その年の有給休暇の残日数がぱっと見てわかるようにしました。最低5日間は有給休暇を取得することを必須とし、時間単位で取得することもできるようにしました。社員自らが計画的に取得できるように促したことで、直近では有給休暇の取得率は68.2%まで上昇しました。」
「また、職場のコミュニケーション活性化の取組みの一環として、10年程前から、社員旅行を復活させました。復活後、1回目の社員旅行では北海道に行きました。自由参加ではありますが、できるだけ全員に参加してほしいという思いから、社員からの率直な要望を受け止められるよう社内に“旅行委員会”を立ち上げ、旅行会社と調整しつつプランを検討しました。社員旅行ではあるもののプライベートも保ちたいという声が多かったため、宿泊先はシングルの個室とし、全日程3日のうち2日目は自由行動とし、会社が組んだツアーへの参加や、自由行動のプランへの費用補助等、多様なプランを用意しました。様々な工夫を凝らしたおかげか、ほぼすべての社員が参加してくれており、社員同士のコミュニケーションが深まる良い機会になっていると実感しています。その後、コロナ禍で中断した時期もありましたが、3年に1回の頻度で行っています。」
「健康経営の活動としては、社員の心身の健康増進のために、近隣のスポーツジムやカイロプラクティックを利用した際、一定額の補助を行っています。健康増進の目的であるということをより実感してもらえるよう、振込ではなく、封筒に現金を入れて直接手渡すという工夫もしています。最近は利用者も増えてきました。これらの健康経営の活動をまとめて茨城県に申請し、2022年に“いばらき健康経営推進事業所”の認定を受けました。」
「社員が幸せに働き続けられる方法を常に考えています。様々なことに対して自信を持てない社員がいることが課題と認識しており、まずは今できていることに気づいてもらえるような声掛けや励ましを行うよう心がけています。その上で、長所や評価できる点は積極的に伝えるようにしています。社員一人ひとりが自己効力感を高めていくことが、セルフケアにもつながり、職場のメンタルヘルス対策としての基盤ができていくと考え、日々取り組んでいます。最近は定期的に採用も行うことができ、離職者も減り、人材が定着してきていることを実感しています。」
【取材協力】株式会社ショウエイ
(2025年3月掲載)